過去ログ - 武内P「あだ名を考えてきました」
1- 20
80:名無しNIPPER[sage]
2018/04/21(土) 00:42:27.70 ID:pK1qKcNgo
  ・  ・  ・

「待ってください! 彼女は、また歩き出そうとしています!」


 千川さんとの一悶着は、ちょっとした騒ぎになった。
 しかし、それを見ていた人間はほんの数人で、それも、終わり際を見られただけ。
 ボンヤリと立ち尽くす私と、泣きじゃくる千川さん。
 私達二人は、すぐに専務に呼び出され、ここに居る。


「結構な事だ。だが、城の門は既に閉じている」


 専務は、パソコンの画面をつまらなさそうに見ながら、言った。
 そして、彼女のデスクに置かれている、私の携帯の画面を見て、フンと鼻で笑う。
 一体、何がおかしいというのか。
 夢を諦めきれずに、また、階段を登ろうとする事の、何が!


「しかし! 一時とは言え、彼女もまたここの人間でした!」
「それが、何か?」


 携帯の画面に映し出されているのは、一通のメールの画面。
 その内容は、


 また、私と――プロデューサーと一緒に階段を登りたい。


 ……そんな、願いだった。
 彼女は、私のせいで、一度はその道を諦める事になってしまった。
 だから……だから、私は――


「っ、うっ……!」


 頭から、血の気が引いていく。
 ソファーから浮き上がりかけた腰をおとし、ソファーに沈み込む。
 そんな私の様子を見つめる千川さんは、とても悲痛な表情をしている。
 専務は、ただ、無表情にそんな私を眺めている。


「彼女を346プロダクションで預かる事は、今後は絶対に無い」


 どこまでも冷たく、言葉は続く。


「逃げ出しておいて、戻りたい? 私がそれを許すと、君は思うか?」


 だが、それでも、


「シンデレラプロジェクトが成功しているのを見て、戻りたい……と」


 それでも――



「夢を見るのは結構だが、寝言を聞き入れる程、この城は甘くは無い」



 それでも、私は……!


「……」


 ……本当は、わかっているのだ。
 専務の言葉の方が、正しいという事を。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/553.82 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice