過去ログ - 武内P「結婚するなら、ですか」
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297:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/24(土) 23:27:41.80 ID:QGx9u0Uyo

「……」


 渋谷さんは、完全に気を失っている。
 そうでなければ、白目をむき、涎と鼻水を垂らした顔を私に見せはしないだろう。
 アナスタシアさんを起こしたら、彼女の顔も綺麗にしなくては。
 そう、思いながら、渋谷さんから目を離し、
アナスタシアさんの方へ顔を向けようとしたが――


「……」
「……」


 ――天井で蠢く、何かと目が合った。


「……」
「……」


 その何かは、一糸まとわぬ姿で、美しい裸身を惜しげもなく晒している。
 冬の冷たい澄んだ空気は、月光を遮る事はない。
 月の光に照らされた姿は、まるで女神のようだ。
 天井に、忍者のように張り付いていなければ、だが。


「……」


 天井に張り付く物体は観念したのか、目を閉じ、言った。



「う〜んむにゃむにゃ」



 う〜んむにゃむにゃ!?
 待ってください!
 寝相で片付けようとするのは、あまりに強引すぎます!


「あの――」


 天井に張り付いている物体に声をかけようとした瞬間、月の光が消えた。
 ほんの一瞬、雲で月が隠れてしまったのだろう。
 だが、その瞬きするしか出来ない程の時間で、


「いない……!?」


 彼女は、闇に紛れた。


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