314:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/25(日) 23:11:34.31 ID:zabzgcsho
・ ・ ・
「ねえ、良い子にしてたらご褒美は貰えるのかしら?」
翌朝から、彼女はそんな事を聞いてくるようになった。
期待を込めた眼差しを向けられても、私はそれに応えられない。
右手を首筋にやり、申し訳ありません、と、それだけ返す。
「それなら……合宿が終わったら、映画でも一緒にどう?」
と、彼女は諦めずに私を誘ってくる。
その立ち振舞は、17歳の少女のものとは思えない。
だが、やはり、彼女はまだ子供なのだ。
再度、申し訳ありません、と、そう返す。
「……もう、つれない人ね」
そう言って口を尖らせるその表情は、年齢相応のものに見えた。
普段の大人びた彼女の色気ある姿も魅力的だが、今の拗ねている顔も可愛らしい。
これから、彼女はどんどん大人になっていくのだろう。
だからこそ、今の彼女の持つ魅力も、忘れてはならない。
「大人のマネは、まだ少し――」
小声で、他のメンバーには聞こえない様、
「――早すぎるでしょ」
彼女だけに聞かせるため、歌った。
それを聞いた彼女は……良い、笑顔だった。
この時の私は、知る由もなかった。
合宿最終日の今日、サプライズで事務所の大人組がこちらに向かっている事を。
夕食後、絶対参加の大宴会が予定されているという、悲しい現実を。
おわり
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