415:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/02(金) 00:40:25.55 ID:tkPQ0Qn5o
「水は、飲めそうですか?」
背中に感じていた手の感触が、無くなった。
声も、それに合わせて離れていく。
……うん、ようやく、落ち着いたかも。
「……すみません、お手数を」
とても、迷惑をかけてしまった。
だから、すぐにでも謝らなくっちゃと思い出した声は、少しかすれていた。
「いえ、お気になさらず」
彼は、カバンから水の入ったペットボトルを出しながら言った。
カバンを足元に置き、パキリと、新しいその蓋を開ける。
そして、私に差し出してきた。
「ゆっくり、飲んで下さい」
さすがに、そこまで甘えられない。
ここまでしてくれただけでも、十分なのに。
これ以上ご迷惑をおかけする訳にはいきません。
そう、考えているけれど、
「――はい、ありがとうございます」
私の口は、私の考えを置き去りにして、感謝の言葉を述べていた。
「……」
だって、仕方ないじゃない。
考えは考え、思いは思い。
とっても嬉しくて、ありがとう、って言いたくなっちゃったんですもの。
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