417:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/02(金) 01:19:44.10 ID:tkPQ0Qn5o
「あの……何か、御用だったのでは?」
アイドルが、プロデューサーの笑顔に押されるなんて、立つ瀬が無い。
……でも、これは負けじゃありませんから。
普段笑わない人が、笑顔を見せたからビックリしただけです。
「いえ、もう、大丈夫なようです」
「はい?」
用があったから、話しかけて来たんじゃないんですか?
彼は、本当にもう用事は済んだとばかりに、
足元に置いていたカバンを拾い上げ、ペットボトルをしまった。
「それでは」
「……はぁ」
彼は短くそう言うと、軽く会釈をし、迷うことなく真っすぐ廊下を歩いて行く。
遠ざかっていく背中を見ながら、私は、少し、ええと……ムカッとした。
だって、朝から彼に振り回されたような気がするんですもの。
「……むぅ」
具体的に、何をされたっていう事は無いんだけれど。
むしろ、腹を立てる理由なんて全く無いのに。
どうして、こんなに負けた気分になっちゃうのかしら。
「……」
……考えていても、始まらないわね。
今晩、お酒を飲みながら誰かに相談してみましょう。
この、なんとも言えない気持ちの理由を――
「っ!?」
しまった。
私が飲んだ水のペットボトルをしまった……しまって、しまった。
――ふふっ! しまった! しまってしまった! うふふっ!
って、ダジャレてる場合じゃないわ!
あれ、この後どうするつもりですか!?
結局、その日一日、私は落ち着かない気分で過ごす羽目になってしまった。
おわり
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