474:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/05(月) 00:40:38.20 ID:IPOjTJqEo
・ ・ ・
「……ねえ」
二人で床に腰掛け、彼女が落ち着くのを待った。
私の胸の中で、彼女はポツリと言った。
続く言葉を待つ。
「私、ひどい顔よね」
彼女の頬に流れる涙を親指で拭う。
昔の彼女を知る者は、きっと今の彼女を見て驚くだろう。
それ位、今の彼女の顔はやつれ、唇も肌も荒れ、ボロボロになっていた。
むしろ、彼女の名前を言ってもすぐにはわからないかもしれない。
「いつも、一番綺麗だよ」
だが、そんな事は関係ない。
私にとっての一番は、いつも、貴女なのだから。
「……ふふっ、お世辞が上手になったわよね」
久々に聞いた、彼女の笑い声。
嗚呼……本当に、久しぶりだ。
「――アイドルに、興味はありませんか?」
そんな言葉が、口をついて出た。
腕の中で、彼女がビクリと体を震わせる。
そこから、お互い無言が続いた。
「……どうして、そんな事を?」
どれだけ時間が経ったかわからない。
だが、彼女は、確かに一歩を踏み出した、踏み出してきてくれた。
「笑顔です」
もう一度、
「貴女の笑顔を見たいと……そう……思いましっ……た……!」
なんとか、言い終える事が出来た。
私たちは、二人で一緒に大声で泣いた。
おわり
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