589:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/07(水) 22:55:10.99 ID:s1fK/wzdo
「……!」
暗い、ホテルの一室。
背後から、眠れないのかベッドの上を転がる音が聞こえてくる。
ゴソゴソと鳴り止まないその音のせいで、正直、眠れないわ。
「……寝て下さい」
うるさいので、ゴロリと彼に背中を向けるように寝返りをうつ。
明日はとても大事な日なのよ。
ちゃんと寝ないと、途中で眠たくなったらどうするの。
「……すみません」
低い、低い神妙な声での謝罪。
気持ちはわからないでもないけど、それにしたって子供じゃないんだから。
昔は私の方が子供みたいって言われてたのに、
貴方ったら、二人っきりの時はこうなんですもの。
もう、いい大人なんだから。
「……その、眠れなくて」
わかってます。
でも、そうやってお話をしちゃったら、余計眠れなくなるわよ。
ただでさえ怖い顔だって言われてるんだから、寝不足なら余計に。
怖がられちゃって困る貴方を見るの、何度も見てきたんですから。
「……そっちに、行っても?」
……まあ、驚いた。
貴方、そこまで緊張してるの?
ふふっ、でも、こういう時じゃないと、素直に甘えてくれないものね。
良いわ、特別に許しちゃう。
「どうぞ」
だけど、寝なくちゃいけないのは、本当。
明日は、大事な大事な、結婚披露宴。
「……お邪魔します」
私と、この人の――大事な愛娘の。
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