過去ログ - 武内P「結婚するなら、ですか」
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63:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/16(金) 23:42:39.44 ID:g+ryXGAuo

「……」


 バレンタインデー。
 その行事では、アイドルの彼女達が、普通の、等身大の少女の笑顔を見せてくれた。
 義理堅い彼女達は、私にもチョコレートを贈ってくれ、
日々、少しずつではあるがありがたく、大切にそれを頂いている。
 彼女も恐らく、その残りを片付けようと思い、少し食べすぎてしまったのだろう。


「う……うぅっ……!」


 青かった顔は、真っ赤に染まっている。
 覚悟を決めたと、そういう事なのだろう。


「それでは……私は、離れています」


 チョコレートの食べ過ぎには、十分に注意しなければならない。
 チョコレートに含まれる成分は、取りすぎるとお腹を壊す原因になる。
 特に、調子がすぐれない時はそれが顕著で、普段からあまり体調の良くない彼女の事だ。
 摂り過ぎたチョコレートが、彼女の腸にTrancing Pulseとなって走り抜けたのだろう。
 事が済み次第……注意しなければ、なりませんね。


「待っ……て……!」


 腰を上げ、離れようとした私を止める声。
 その声は、もう限界寸前と言った様子。
 待ちたくない、今すぐに離れたいという気持ちを胸の奥に押し込む。


「……!……!」


 もう、声もハッキリ出ていない。
 ……いや、微かだが、聞こえる。
 私は再び彼女の前に膝をつき、顔を寄せて、それに耳を傾けた。



「ひとりに……しないで……」


 とても弱々しい声。
 そして、普段の彼女からは微塵も想像出来ない、圧倒的なパワー。


「……!?」


 私は、ネクタイを捕まれ、この場から離れるという選択肢を放棄させられた。


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