697:名無しNIPPER[sage saga]
2018/03/09(金) 22:53:06.85 ID:h5oZCgCQo
>>693
「……」
どうして、私だけがこんな目にあうんでしょうか。
神様が居るとしたら、それは、とても不公平だと思います。
「……」
ベッドの上に座りながら、暗い部屋を見渡してみます。
ほとんどの家具には、「差し押さえ」の赤い札が貼られているんです。
それは、ここは私の部屋なのに、ほとんどの家具が私のものでは無い、という意味です。
「……うっ……ぐすっ……!」
泣いてはいけないと思っていても、ポロポロと、涙が溢れてきます。
誰に聞かれるわけでも無いのに、私は、声を殺して泣きました。
皆、私だけを置いて逃げてしまった。
私は、必要とされて居ないんだと思うと、余計に涙が溢れてきます。
泣いたらお腹が空くのに……もう、苺もパスタも残り少ないのに……!
「――笑顔です」
そんな、泣き続ける私に、低い、低い声がかけられました。
その声はとても優しくて、温かな気持ちになりそうでした。
けれど、それは駄目です。
だって、その声の主は、私の部屋の窓を勝手に開けて佇んでる、不審人物ですから!
「だ、誰ですか貴方は!?」
大きな声を出すと、怖い人達に気づかれてしまうかもしれません。
それなのに、大丈夫だと思ったんです。
「通りすがりの、プロデューサーです」
こんなおかしな状況で、大きな体を曲げて丁寧に挨拶し、名刺を差し出すこの人。
「アイドルに、興味はありませんか?」
この人が居れば、きっと大丈夫だろう、って。
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