389:名無しNIPPER[sage]
2017/11/20(月) 23:10:40.55 ID:Pfdjp9MCo
「……っく……ひっく……!」
私の名前を呼ぶ声が、そこかしこから聞こえてくる。
アイドルとしてそれに答えなければならないのに、出来ない。
だって、今の私の表情はとても歪んでいて、見せられたものではないから。
だから、早く、早く――
「高垣さん」
「……ひぐっ……うっ……!」
とても、とても近くから彼の声が聞こえる。
顔を上げて確認は出来ない。
だけど、この低く響いてくる声は間違いなく彼のものだ。
「こちらを使ってください」
「……っく……ふぐぅ……!」
俯いた顔と、涙の跡を遮るように差し出された、青いハンカチ。
きっと彼はこれで涙を拭けと言っているのだろうけど、今の私にそれは出来ない。
だって、手が震えてしまってるんですもの。
禁酒なんてされてなければ、手が震えるなんてなかったかもしれないのに!
駄々をこねるように、私は首を横に振った。
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