過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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15:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:19:18.43 ID:sXivYPE/0
「――は?」
男の人の目が点になる。
別にあたしは守銭奴であるつもりも、食い意地張ってるつもりも無いんよ?
16:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:21:17.81 ID:sXivYPE/0
で、書類を揃えようと週末日帰りで実家に帰って、父さんとも相談して――。
「あ、アイドルってお前――」
「ふふ〜ん。大手の事務所にスカウトされたんだよー、あたし♪」
「ユーチューバーとかじゃないんよな?」
17:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:27:54.01 ID:sXivYPE/0
契約当日、事務所の前であたしを待っていたのは、勧誘してきた人――プロデューサーさんって人と、隣にはもう一人。
それはもう、めっちゃくちゃキレーな女の子が。
18:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:29:25.80 ID:sXivYPE/0
「はい、塩見さん。今のところもう一度やってみましょう」
えぇ、今のあかんかった!?
あたしだけ前に立たされて繰り返し発声練習。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:31:38.49 ID:sXivYPE/0
でも、あの人の事を悪く言ってばかりはできない。
何せ346プロは、期間限定とはいえ、東京でのあたしの生活をほぼ全面的にサポートしてくれている。
このまま三ヶ月間、あたしにご飯を食べさせるだけというのは、事務所にとっては詐欺みたいなもんだ。
20:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:33:12.72 ID:sXivYPE/0
「一言で言えば、トップアイドルになるためね」
速水奏ちゃんは、あたしの質問にサラッとそう答えた。
へぇー、そうなんだ。
21:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:34:29.90 ID:sXivYPE/0
「あぁ〜――ってキミ、おざなりな回答してるんやん!」
奏ちゃんはまた手を口元に添えた。
「ごめんなさい。悪気は無かったのだけれど」
「悪気は無いで済まされたら警察いらんよ?」
22:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:36:29.34 ID:sXivYPE/0
「大した理由は無いよ?
プロデューサーさんに、「生活の面倒見てやるからアイドルやらん?」って言われたから」
休憩中なのに、変に体力使って喉が乾いちゃった。
ペットボトルを取って、ぐいっと一飲みして息をついていると――。
23:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:39:56.86 ID:sXivYPE/0
「意外だったわ」
奏ちゃんは、口をぽかんと開けてあたしの話、ていうか愚痴? を聞いてくれてた。
「周子は歌もダンスも、入りたての子とは思えないくらいすごく上手だから、もっと高い意識でアイドルを目指していたのだとばかり思ってた」
24:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:41:27.84 ID:sXivYPE/0
「きっとお互い、理解し得ない事情を抱えているのかしら」
「そうかもねー」
こっちが理解したくても、そっちが話してないやん。別にいいけどさ?
25:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 10:43:14.68 ID:sXivYPE/0
「あ、うん」
気のない返事を返し、その後のレッスンは再開された。
奏ちゃんは、さっきよりも動きにキレが増している。
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