過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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156:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:11:16.69 ID:sXivYPE/0
「どうだい? 本社勤務に戻ってみて」
支社長は、本社で言う所の部長クラスに当たる。
だが、この人は立場を気にせず、ヒラの俺の面倒を良く見てくれた恩人の一人だ。
157:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:15:35.38 ID:sXivYPE/0
「ふぅむ――フェスの後、できる限り彼女達のサポートをしてやってほしいと」
オールバックさせた白髪を撫でながら、支社長は窓の外を見やった。
万が一の事があった時、彼女達が行き場所に不自由する事が無いよう、手を回してほしい旨を伝えた。
158:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:17:00.23 ID:sXivYPE/0
「だがまぁ、よろしい」
そう言いながら、支社長はフカフカの椅子から腰を上げた。
「キミの意向は分かった。
159:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:17:59.94 ID:sXivYPE/0
一課に偽りのドッキリの協力を依頼し、アリバイとして機能させる。
より自然な形で事故を起こすために現場へ赴き、何度も脳内でシミュレーションを重ねる。
予定された不幸により、LIPPSは注目を浴び、俺はクビになる。
160:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:20:11.39 ID:sXivYPE/0
サマーフェス本番の日は、生憎の天気だった。
元々台風だった温帯低気圧が首都圏を通過し、朝からポツポツ降っていた雨は、リハが終わる頃には土砂降りになった。
客の入りも、パッと見たところ、満員の半分といったところか。
161:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:22:05.44 ID:sXivYPE/0
アクシデントの起こし方だが、結局のところ、最も単純な手法を選択した。
音声のプラグを引っこ抜く。
162:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:23:28.62 ID:sXivYPE/0
――元気だな、相変わらず。
正念場となるステージを控えても、特に一ノ瀬さん、宮本さん、塩見さんは普段と様子が変わらない。
リラックスしたり、忙しくはしゃいだり、城ヶ崎さんや速水さんにちょっかい出したりしている。
163:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:26:38.54 ID:sXivYPE/0
どうやら順延は英断だったようで、傘を差さずともそれなりに許容できる程度には雨脚は弱まった。
体調を崩してしまった子が一課に一人いたらしいが、聞こえた話ではどうにか回復したようだ。
お客さんも結構入ってきている。
164:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:28:37.15 ID:sXivYPE/0
ニュージェネの子達と入れ替わりで、LIPPSの5人が舞台袖にやってきた。
彼女達の出番は、今出ている二課の木場さんの、次の次だ。
木場さんを担当する新人の女の子プロデューサーに、さっそく一ノ瀬さんがちょっかいを出している。
165:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:29:45.65 ID:sXivYPE/0
携帯が鳴った。クマさんからのメールだ。
『ニュージェネレーションズは、合図があるまで機材の後ろに待機するよう手配しました。』
よしっ! やはり出来る男だなぁ、彼は。
166:名無しNIPPER[saga]
2017/12/16(土) 16:31:19.98 ID:sXivYPE/0
直前にやってきたトップアイドルとそのプロデューサーは、どちらも無言で、しかし穏やかな笑みをたたえ、俺達の側を通り過ぎる。
そして、一言「行ってきます」と彼女はヒゲさんに告げると、彼もしっかり頷き、その後ろ姿を黙って見送った。
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