過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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217:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:08:29.40 ID:K38ajQT50
「ハァ〜〜〜」
通話を終えた途端、長いため息を吐くプロデューサー。
そんなに志希ちゃんのこと苦手なのかな。
「デートって?」
218:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:10:20.47 ID:K38ajQT50
「そういうの、女のコ、傷つくよ」
アタシは、すっかり溶けちゃったアイスをスプーンで何と無しにかき混ぜる。
「本音と建前って、結構分かるもんだし。
志希ちゃんだって、いつもにゃはにゃは笑ってるけど、自分が拒絶されてるって気づいちゃうんじゃないかな」
219:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:12:10.37 ID:K38ajQT50
「うん?」
なおもとぼけるプロデューサーに、アタシは構わず続ける。
「デートがダメでも、お出かけならイイんじゃない?」
220:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:15:01.27 ID:K38ajQT50
「――確かに」
「ねっ? だから、デートじゃない範囲ってのはあるんだよきっと。
その時間を志希ちゃんと共有してあげたらいいんじゃないかな」
「じゃあ、346のカフェにでも連れてってあげるか」
221:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:17:40.59 ID:K38ajQT50
「そんなん、付いちまったモンはしょうがねぇだろうが」
事務室のソファーに腰を下ろし、ため息を吐く私に、拓海さんは手を腰に置いてフンッと鼻を鳴らした。
「アタシはモデルの仕事なんてあまりしねぇから、美嘉の悩みはよく分かんねぇけどさ。
自分を誤魔化そうとすんのは粋じゃねぇ。むしろビッと胸張ってけよ」
222:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:21:41.34 ID:K38ajQT50
「オレはマジメに言ってんだよ」
イテテ、とお腹を押さえながらヤァさんは立ち上がった。
「持てる武器を活かさねェのは粋じゃねェって言ってんだ。実際、多くの男にとって魅力的なのは事実なんだからな」
223:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:23:46.31 ID:K38ajQT50
「ん?」
「おっ、そうだな」
頭が痛いのは、あの日の午後に返された英語の答案が良くなかったからじゃない。
はぁ〜何で周子ちゃんに相談しちゃったんだろ。
224:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:27:01.73 ID:K38ajQT50
「んまぁ、オレらプロデューサーなんて一般人からすりゃ誰か分かんねェしさ。
アイドルのコらがしっかり変装しときゃぁ、派手な事しなきゃ大丈夫だと思うけどよぉ」
ヤァさんは、人差し指を立てた。
「男として言わせてもらうが、デートってのは男が女を立てるもんじゃねェ。
225:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:31:46.79 ID:K38ajQT50
「そんなに男の人って、女の人の胸が好きなの?」
アタシには、未だに何が良いのか分からない。
「赤ちゃんは皆お母さんのおっぱいで育つから、潜在的に好きな意識が働くとか?」
そう語る周子ちゃんは、いつになく真剣な表情だ。
226:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:36:31.36 ID:K38ajQT50
アタシはいつもフェアのつもりだった。
仕事でも、そうじゃない時でも、アタシに接してくれる人とは、誰に対してもなるべく対等でありたかった。
もちろん、偉い人とか、仕事の関係先の人とか、上の立場の人がいるのも理解してる。
それに、いくら対等と言ったからって、何をしても許されるなんて思っていない。
227:名無しNIPPER[saga]
2017/12/17(日) 22:38:01.54 ID:K38ajQT50
だから、スタンスは変えない。
高圧的でナマイキだと思われたとしても、それが、仕事に対するアタシなりの敬意。
の、つもりだったんだけど――そっか。
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