過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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378:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:22:45.05 ID:Ae62FiCR0
 彼の指示に倣い、強引に取り入ってその世界を覗き込み、分かったことは二つ。

 一つは、彼女達を夢中にさせるものの正体。

 トップアイドルという、魅力的かつ抽象的なそれは彼女達の夢であり、そこへ至るアプローチも様々だ。
以下略



379:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:24:43.62 ID:Ae62FiCR0
 どうやって? とアタシが聞くと、彼は真面目な顔を崩さずにこう言った。

「まず、君達には今度のサマーフェスで負けてもらいたい」

 正確には、高垣楓さんという人を優勝させたいのだという。
以下略



380:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:28:26.02 ID:Ae62FiCR0
 それで、キミもその甘い汁を吸いたいワケだ、と茶化したら、彼は首を振った。

「言っただろう、状況を変えたいのだと。
 少なくとも、大人達の都合で彼女達が振り回されていくのを見るのはもう嫌なんだ」

以下略



381:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:30:19.99 ID:Ae62FiCR0
 彼がアタシにその計画を告白した理由は結局聞けずじまいだったが、強引に推察するとこうだろうか。

「欲望こそ人の心の根幹であると、アタシに伝えたかった」とか、ね。

 彼は真面目だ。協力を求めるからには、アタシに何かしらのギブをしたかったのだろう。
以下略



382:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:32:16.48 ID:Ae62FiCR0
 計画は、思ったよりも原始的だったようだ。

 誰かが音声プラグを引っこ抜くことで、アタシ達のステージを台無しにしようという算段だったみたい。


以下略



383:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:34:17.86 ID:Ae62FiCR0
 あんなに上手くいくとは思わなかったし、楓さんが優勝しなかったのはそれ以外の理由もあったのだろう。


 でも、一つだけ分かるのは、そう――とても楽しかったのだ。

以下略



384:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:38:03.07 ID:Ae62FiCR0
 行動に対する責任を負うという覚悟が、アタシには足りていなかったのだと、気づいたのはその後だった。


 想定外の事態を受け、混迷を極める上層部を尻目に、アタシ達は爆発的な人気を集め、サイコーに楽しい状態。

以下略



385:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:45:19.66 ID:Ae62FiCR0
 こういう時に大事なのは、視点を変えること。

 アタシをLIPPSの一員として存続させるケースを念頭に置くから無理が生じてくる。

 では、アタシはLIPPSではないとしたら?
以下略



386:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:46:53.66 ID:Ae62FiCR0
 ――まーいっか! にゃっはっはー!

 正しいかどうかはともかく、現状ではそこそこベストに近い手段ではあったはずだろうし。

 アタシはいつも通り失踪し、彼女達は面目を保ってこれからも活躍し続けられる。
以下略



387:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 00:50:05.76 ID:Ae62FiCR0
「ん、アタシですか?」
「そうそうあのネ。ちょっと道が分からなくテネー困ってたのヨ。息子のウチを探していテネー」

 話し方がゆっくりで、何やら不思議なイントネーションのおばあちゃんだ。

以下略



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