過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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444:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:33:45.62 ID:Ae62FiCR0
「草の者、って」
小さく突っ込んだのはチビさんだ。私も、どこの時代劇だと突っ込みたくもなる。
だが、常務は真顔だった。意外と、この業界では普通――なのかしら。
445:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:37:51.53 ID:Ae62FiCR0
ヤァさんは、額から流れた血で顔中が真っ赤だ。
一方で、プロデューサーは――よく見ると、右手の甲が血で滲んでいた。
「あぁ、これッスか?」
ヒヒッ、と笑いながらヤァさんは手で血を拭う。
446:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:40:02.18 ID:Ae62FiCR0
「次からは気をつけるように」
呆れたように言い捨てた常務に、ヤァさんは「ウッス」と雑に会釈した。
「じょ、常務!? 馬鹿な――!!」
447:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:41:57.36 ID:Ae62FiCR0
「む、村上――う、うわぁ!?」
そのままズルズルと支社長を引きずり、男達は部屋の外に退場していく。
最後の男が律儀に深々と頭を下げ、丁寧にドアを閉めて去って行った。
448:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:44:07.03 ID:Ae62FiCR0
「え、そんだけ? やった、ざっス」
ヤァさんに倣うように、プロデューサーも黙ってお辞儀をしてみせる。
449:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:45:46.20 ID:Ae62FiCR0
常務は大きくため息を吐き、プロデューサーを睨み付ける。
「私には、君が体よく厄介事を回避したがっているようにしか見えないがな」
「ハハハ」
プロデューサーは何も答えず、バツが悪そうに頭を掻いた。
450:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:48:19.74 ID:Ae62FiCR0
「妨害工作、ねぇ?」
ヤァさんが首に手を当て、ゴキゴキと乱暴に関節を鳴らす。
「めんどっちぃよなぁ。ホント、ダセェ事しかしねェ、あの事務所」
451:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:52:01.67 ID:Ae62FiCR0
「いや、うん――しかし、本当に疲れたな」
プロデューサーは、いつの間にか携帯を弄っている。
「速水さん。何か着信残ってる?」
452:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:54:35.50 ID:Ae62FiCR0
「付き合わせてすまなかった。今日はもう遅いし、外もこんなだから、タクシー呼ぶよ」
そう言って、プロデューサーは一万円札を私に差し出した。
「あの、タクシーなら事務所と契約してる会社をそこから呼べますけど」
453:名無しNIPPER[saga]
2017/12/19(火) 23:58:00.07 ID:Ae62FiCR0
「片や大事な仕事はすっぽかす」
外を見やったまま、プロデューサーは思い出したようにポツリと呟いた。
「片やメンバーの頬をひっぱたき、片や遅刻の常習犯。何かにつけて噛み付いてくる、君のような子もいる。
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