過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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499:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:50:59.53 ID:m6szqZZ10
その子は、小学校の合唱発表会で来ていたようだった。
ただ、周りの子達と溶け込めておらず、一際目を引く青みがかった綺麗な長髪が、余計に異質な存在感を放っていた。
他の子達も、露骨にイジメている訳ではないものの、明らかに彼女の事を煙たがっているようだった。
500:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:54:33.36 ID:m6szqZZ10
学校の皆とは、一緒に歌いたくない? ――少女は、頷いた。
一緒に歌ったことは、あるの? ――少女は、首を振った。
501:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:56:30.80 ID:m6szqZZ10
柄にも無くキザったらしい事をしてしまったが、まぁ――これはこれで、良かったのかな。
そう、一人客席の隅っこに立って物思いに耽っていると、後ろから肩を叩かれた。
誰だ、館長か? やべっ、サボッてるのがバレ――た訳では無かった。
502:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:57:18.43 ID:m6szqZZ10
マルチ等の勧誘を断る際のセオリーは、その場でキッパリ断ること。
話だけ聞く、という半端な対応は御法度であるという。
503:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 19:59:26.38 ID:m6szqZZ10
渡された名刺の住所から最寄り駅を調べ、当日、その駅からタクシーで向かった。
運ちゃんに事務所名を伝えると、小首を傾げた後「あぁ、あそこね」と合点した様子で車を走らせる。
504:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:02:02.71 ID:m6szqZZ10
え――!?
曰く、ここは961プロという別の事務所で、俺をスカウトしたおっさんは765プロの社長だという。
505:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:05:26.67 ID:m6szqZZ10
ここまで来て何もせず帰ったら、何のために今日有給を取ったのか分からない。
そんなくだらない貧乏性から、俺の足はその346プロなる事務所へ向けられていた。
506:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:07:22.49 ID:m6szqZZ10
今西部長の口から伝えられたのは、俺にとって驚くべき内容だった。
「それでは、4月1日よりよろしく頼むよ。何か分からない事があれば、彼女に聞くと良い」
507:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:11:24.24 ID:m6szqZZ10
どうやら、961プロから346プロへは、俺のことは優秀な人材として紹介されたらしい。
明日にでも働きたいと、アイドル業界の未来を憂う期待のプロデューサーである、と。
何考えてんだ、あのおっさん。
508:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:13:09.08 ID:m6szqZZ10
曲がりなりにもコンサートホールの職員という事もあり、一般の人間よりは芸能分野に精通しているとでも思ったのだろうか。
とはいえ、俺には当然、今の仕事がある。
本来であれば、二つ返事でノーを突きつけるところであるが――。
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