過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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516:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:30:29.12 ID:m6szqZZ10
 その日の仕事は、当然キャンセルとなった。

 それどころか、培ってきた業界への信用が台無しになったとして、346プロは彼女の起用を当面見送るとした。

 アリさんは上層部へ直談判しに行ったが、無駄だった。
以下略



517:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:33:41.48 ID:m6szqZZ10
 この会社は――というより、この国は良くない意味で優しい。

 落ちこぼれの尻ぬぐいを、他の優秀な奴がやらされるシステムになっているのだ。

 正直者が馬鹿を見る、というのであれば、尻ぬぐいさせる側に回った方が良いに決まっている。
以下略



518:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:36:46.35 ID:m6szqZZ10
 奥多摩支社に配属されて三年が経とうとした頃、翌年度の本社入りが決まった。

 鬱になった社員の穴埋めで、事業三課に戻る事になったのだ。

 上手いことやりやがって、と思ったが、どうやらソイツの鬱は本物だという。
以下略



519:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:43:09.58 ID:m6szqZZ10
 渋々街に繰り出して、めぼしい子を探してみる。

 と言っても、これだけ人がいる中で、誰か一人を特定するというのは非常に難儀な事だ。


以下略



520:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:45:58.64 ID:m6szqZZ10
 適当に声を掛け、喫茶店に招き入れる。

 話を聞くと、どうやら彼女は京都の和菓子屋の娘らしい。

 アイドルにもさして興味は無さそうだ。
以下略



521:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:49:18.71 ID:m6szqZZ10
 その後については、特筆すべき事は無い。

 いつの間にか城ヶ崎さんが合流し、間もなく連中の意向により宮本さん、一ノ瀬さんも仲間入りして、今に至る。

 俺は、LIPPSの傍にたまたま居合わせたに過ぎず、能動的に彼女達を導いてきた事なんてただの一度として無かった。
以下略



522:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:53:22.78 ID:m6szqZZ10
「――ふーーん?」
「重たい話ですねー」

「そうですね――服部さんの事は、本当に残念でした」

以下略



523:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:54:09.14 ID:m6szqZZ10
「んー、あたしはプロデューサーさんの言うことも正直、分からなくもないっちゃーないんだけどね」


「奏ちゃんや美嘉ちゃんなんかは、今の話聞いたら怒るやろなー」



524:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:57:06.38 ID:m6szqZZ10
 (◇)

 ソファーの陰からひょっこり姿を現したあたしに、プロデューサーさんは目を丸くしてる。
 あたし、ずーっと寝そべって聞いてたのに、全然気づかないんだもん。

以下略



525:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 20:59:11.31 ID:m6szqZZ10
「とにかく、今タクシー呼ぶから、早く帰りなさい」
 そう言って、プロデューサーさんが受話器に手を伸ばすのを、チーフさんが制した。

「良い機会だと思いますし、彼女達と一度、向き合ってみてはいかがでしょう?
 周子ちゃんも、たぶん今の話を聞いて思う所もあるでしょうし、あなたも彼女が相手なら、比較的話しやすいのでは?」
以下略



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