過去ログ - LiPPS「MEGALOUNIT」
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578:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:27:27.56 ID:m6szqZZ10
「こちらですと、出演者をというより、会場をより強調してご案内する形になろうかと存じます。
ご指摘いただきました、公平性という面においても、宣伝の主題を会場とするこのレイアウトであれば、解消されるのではないかと」
と言いつつ、下部に寄せた出演アイドルの写真は、ちゃっかりLIPPSが真ん中だ。
579:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:29:20.14 ID:m6szqZZ10
握り拳を口元に当て、少し唸った後、職員はとりあえずと言った様子で渋々頷いた。
「他の自治体にもヒアリングをして、こちらとして支障が無いと判断できましたら、いただいたチラシと併せて掲示しておきます」
「ありがとうございます。その際は、お手数ですが私にもご一報いただければ幸いです」
580:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:32:01.86 ID:m6szqZZ10
課長からは、新たなアイドルをスカウトしてこいとのお達しを受けている。
だが、当然に俺はそれをする気などサラサラ無かった。
一方で、俺が今行っているのは、俺が最も嫌いな仕事でもあるというのが、どうにもままならない。
581:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:34:45.82 ID:m6szqZZ10
数年おきに転職を繰り返してきた俺には、培ってきたスキルなど何一つ無い。
あるとすれば、色んな業界を渡り歩く中で得た、各方面の浅い知識と、浅い人間関係。
それだけが俺の武器だった――いや、今はそれを武器にしなくてはならない。
582:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:37:24.67 ID:m6szqZZ10
「――その呼び方はやめてください」
「ハッハッハ、水くさいことを言うな、元気にしていたかね?
ん? 君はもうここの職員じゃないのか」
その爺さんは、何かの契約のための印鑑証明を取りに来ていたらしい。
583:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:41:36.14 ID:m6szqZZ10
――――。
まさか、またここに来ることになるとは――。
584:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:43:51.27 ID:m6szqZZ10
ピーというあだ名は、この人が付けたものだった。
配属されて三ヶ月ほど経った頃、現場にてバーベキュー大会が催されたのだ。
てっきり、車を出せる人ので数台乗り合わせて、どこかの河原か山で行うものとばかり思っていたが、全然違った。
585:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:48:16.99 ID:m6szqZZ10
「よーく洗っといたから心配すんな、ワハハ!」
いや不衛生にもほどが無いっすか!? という俺の心の叫びは当然無視されて、宴会が始まった。
586:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:50:56.72 ID:m6szqZZ10
「そうそう! はぁ〜〜女っ気の欠片も無かったお前がなぁ、さぞかし楽しいだろ毎日、なぁ? ワハハハ!」
扇子を扇ぎながら、その人は豪快に笑う。
俺は閉口した。彼が思うほど華やかな世界ではない事を、彼に知ってもらう必要も無いように思えた。
587:名無しNIPPER[saga]
2017/12/20(水) 23:54:05.76 ID:m6szqZZ10
本来であれば、事務所に帰らなくてはならなかった。
以前、役所で会った爺さんに紹介してもらった先生との約束が、明日にセッティングされていたのだ。
対応を誤りたくはない厄介な相手なだけに、その準備はなるべく念入りに行っておきたかった。
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