過去ログ - 盲目の老人「60年も昔の話になるかのう……」幼女「おじいちゃん」
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1:名無しNIPPER[saga]
2018/08/06(月) 00:11:40.52 ID:w1pCU6EP0
少年の家に、ワタアメという名の猫がいた。

綿菓子のように白く、ふわふわした毛の猫だったからだ。

ワタアメは、少年の両親がペットショップで見つけてきた。

劣悪な環境で育ったらしく、腹の中には悪い虫が沢山棲みついていた。

少年「お母さん、どう? 寄生虫は消えた?」

母「ええ。無事に取り除けたわ。この子、ウチに来て本当によかったわね」

少年「やった……!」

来る日も来る日も、少年は猫と遊んだ。


猫の寿命は短い。

ワタアメがあと10年ほどしか生きられないことは分かっていた。

少年が大人になり、就職し、幸せな家庭を築く頃には、この世にいないことも知っていた。

だからこそ悲しくなった時、縁側で寝そべるワタアメの傍に横たわり、囁きかけるのだった。

少年「ワタアメ、僕達はずっと一緒だ」

少年「お前がいなくなった後の世界なんて、考えられないよ」





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2:名無しNIPPER[saga]
2018/08/06(月) 00:25:30.75 ID:w1pCU6EP0
盲目の老人「誰にでも平等に死は訪れる」

盲目の老人「儂が25歳の時、ワタアメは死んだ。儂は地方に勤めていて、ワタアメの死に立ち会えなかった」

盲目の老人「こうして縁側に立つと、無性に思い出されるのじゃ。あやつと過ごした数年間を」
以下略



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