過去ログ - 【オリジナル・安価＆コンマ】宇宙を駆ける者たちの物語
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845:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 03:08:42.75 ID:J1oUrZdh0
「…言ったからね。リヒト」

電脳空間の中で独り言ちるハロ。その眼には、独房のカルティエが映っている。

「…人の善意を信じる。それは、別にいいことだと思うよ。でも…」

「皆が皆、いい人じゃないんだよ。皆が同じように、変われるとは限らないんだよ」

「…リヒトは知るべきなんだ。人の醜悪さを。はっきりとした現実を、受け止めるべきなんだ」

一度見ているはずなのに、理解していない。いや、誤魔化しているのだろうか。

『人はそんなものじゃない』と、いい部分だけを切り取って、肯定しているのだろうか。

「…もう少し、冷静に物事を見ようよ。リヒト」

「でないと…ハロみたいになっちゃうよ？」

「ふふ…あはははははは…！」

誰にも見られることのない世界で、一人の少女は笑った。ただただ笑った。

その光景を知る人は、どこにも存在しない。それを知っているから、少女は笑ったのだ。

愚かな自分を嘲るために。そんなことを自分が、どうしようもなく滑稽だったから。

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