170:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/11(月) 23:35:44.73 ID:u2YgayRoo
「……!」
プロデューサーさんの手の平が、ほっぺに当てられた。
ほっぺで感じる、大きな手。
小さい頃、父ちゃんに褒められた時にもこうされたっけ。
懐かしさに、自然と笑みがこぼれた。
「あはっ♪ プロデューサーさんの手、温かいんごね〜♪」
顔を手に擦り寄せ、言う。
こうすれば、私もほっぺが温かいし、
プロデューサーさんも肌の感じがわかりやすくて一石二鳥ですね!
「私の肌、どんな感じですかね〜?」
右側はプロデューサーさんの手が触れてるから、
反対側の左目を開けて、聞いてみる。
何故か、プロデューサーさんは妙に背筋をピンと伸ばしてて、
左手は軽く拳を作って膝の上に置いていた。
「と、とてもきめ細かいですが……す、少し乾燥しています、ね」
きめ細かい……これって、褒められてる!
だけど、乾燥してるっていうのは……あっ、そっか!
「東京に来てから、まだ良いラーメン屋を見つけてないからですかね〜?」
ラーメンの油分を補給してない。
早く、こっちでの生活にも慣れて色々と行ってみたいんですよねー。
電車なんかいっぱい走ってるから、すっごく便利ですよ!
あは♪ 考えただけで、楽しみ!
「も……もう、良いでしょうか?」
聞きながら、プロデューサーさんはサッと手を引っ込めた。
そして、引っ込めた手を少し彷徨わせた後、
左手と同じように軽く拳を作って、膝の上に乗せた。
どうしたんですか? 何か、緊張してません?
「……?」
お肌のチェッ……チェキ!
チェキするのって、そんなに緊張するような――
「――あっ」
顔が、熱くなっていくのがわかる。
ほっぺだけじゃなく、顔から首筋から、色々……全部。
何も言えなくて、唇をまっすぐ引き絞る。
頭上からは、湯気が立ち上ってるかも知れない。
「……!」
あまりの熱に、りんごが一つ焼き上がってしまった。
甘いそれは、心の準備を全くしていない私にとっては、あまりに甘すぎた。
「んごぉ……!」
おわり
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