540:名無しNIPPER[sage saga]
2019/02/27(水) 23:52:46.79 ID:jhyS+5wYo
・ ・ ・
「雛祭り、は、暇な率、が高いんです」
彼と一緒に階段を登りながら、再チャレンジ。
あ、今言ったのは本当の事ですよ。
どうしても、この時期になると年少組の子が忙しくなりますから。
前、白酒を飲みすぎたのは……関係、あるのかしら?
「では……今度こそ、ここで」
いつの間にか、階段の分かれ道。
彼は、左へ。
私は、右へ。
それぞれ、違う方向へ。
「はい。それじゃあ、また」
「ええ、また」
軽く頭を下げて、背を向け合う。
「……」
分かれ道の、最初の一段目。
そこに足をかけて、何気なく下を見る。
見えたのは――お雛様。
真っ赤なひな壇の上に、ちょこんと座ってる。
「……」
階段にかけた足を下ろし、後ろを振り向く。
その勢いのまま、少しだけ早足で、忍び足。
真っ赤な深い絨毯が、私の足音を消してくれる。
丁度良いタイミングで、追いついた。
「あの、何か?」
私に気付いた彼が、不思議そうな顔でこちらを見た。
ええ、と……あっ、こっち側ね。
階下を確認して、立ち位置を入れ替える。
「……ふふっ!」
彼は、右側。
私は、左側。
真っ赤な敷物の上で、あの子達は座ってる。
でも、私達は階段を登っていくから、座ってはいられない。
「すみません……これに、何の意味が?」
彼は、右手を首筋にやって困ってる。
「答えは、女の子でーす♪」
そう言って笑いかけたら、彼はますます不思議そうな顔をした。
「うふふっ♪」
おわり
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