979:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/29(月) 22:31:53.03 ID:aAY9Mg7Uo
「すみません……お手数をおかけしてしまって」
夏合宿に向けて、プロジェクトクローネのメンバーで話し合いがありました。
皆、それぞれ意見を出し合い、とても充実した合宿になるだろうと、
他人事の様にその光景を見ていた私に……声がかけられたのです。
ニコニコと、照りつける太陽の様に眩しいその笑顔の方は、
――課題、一緒にやろー♪
と、私がアイドルである以前に、大学生だったという事を思い出させました。
……忘れていた訳では無かったのです。
ただ、日々の過ごしている時間が、今までの私が歩んできた人生と、
あまりに違いすぎるため、その刺激の前に霞んでしまっていたのでしょう。
「いえ、お気になさらず」
通っている大学が違うので、彼女の申し出は丁重にお断り……出来ず、
合宿中の空き時間に、同じ机を囲むという約束が、
結ばれ、揺れた右の小指に、感触として未だ残っています。
「重要な事だと思いましたので」
コミュニケーションを取る事はとても大切だと知り、
それ自体は問題なかったのですが……。
「……そう言って頂けると……」
私は今、大学へと車で向かっています。
助手席に座り、視線を彷徨わせながら。
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