980:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/29(月) 22:48:51.93 ID:aAY9Mg7Uo
「もう、夏季休業に入っているのでしょうか?」
恐縮している私に、気を遣ってくれているのでしょう。
あまり、こういった世間話をするイメージではありませんし、
私が言うのも何なのですが、どことなく、ぎこちなさを感じるからです。
けれど、そうした気遣いには報いるべきだと思うので、
なけなしの社交性を振り絞り、会話を成立させるべく、言葉を紡ぎます。
「はい……私は、授業の関係上、もう……はい」
……何と、そっけない言葉でしょうか。
紡ごうと思った筈の言葉は、がさつな少女が始めて編み上げたマフラーの様に、
穴が開き、段違いで不格好なものにしかなりませんでした。
視線は膝の上に落ち、羞恥に頬が熱を帯びていくのがわかってしまいます。
「大学では、どの様な事を学んでいるのですか?」
……運転に集中しているからでしょうか。
私のたどたどしい答えを意に介した様子は見られず、
続けて、次の質問が低い声で投げかけられました。
それが、メンバーの方に聞いていた、ある場面の様で思わず、
「……オーディション、でしょうか?」
と、自然と聞き返してしまっていました。
……後悔したのは、言うまでもありませんね。
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