358:煙草と怠惰と二人の世界[sage saga]
2016/05/19(木) 18:43:42.32 ID:P2nb1B0e0
開け放たれ窓から風が通り、閉めきったカーテンを微かに揺らし日光を部屋に侵入させる。
そこから、鳥同士のいさかいからか甲高いさえずりが断続的に聞こえ、その耳障りな騒音をかき消すように車が音をたてて通りすぎた。
ザッピングしたまま適当に止められたバラエティ番組は昼を示す。近くの小学校から、お昼休みを伝えるチャイムの音が聞こえてきた。
平日の真っ昼間に、若い女二人がベッドの側面に背を預け、怠惰を貪っていた。その部屋は煙草の臭いで満ちている。
義姉「――――ふう」
義姉は気だるげに溜め息をつくと同時に煙を吐き出した。その右手には煙をくゆらせた煙草がある。
その様を、隣にいたその煙草を吸っている女より幾分か若い見た目をした女が、何の感動もなしに見つめ、不意に――
女「……すぅ」
女は義姉が吐き出した煙を何の抵抗もなしに吸った。初めの頃はむせずにはできなかったその行為だが、今ではすっかり慣れたもので、義姉が混じったその煙草の煙を味わうようにゆっくりと吸っている。
女は未成年だ。本来ならこの時間は高校にいかなきゃいけない。
女「お義姉ちゃん……」
女はすがるように最愛の人の名前を呼ぶと、そこら辺に転がっていた缶を取った。
すっかりぬるくなったチューハイ缶のプルを引くと、容器を唇に当て、口の内に流し込んだ。
そして、アルコールを口内に含んだまま義姉にキスをする。
義姉「――――」
義姉は抵抗するでもなく、それを無防備に受け入れた。彼女は女が混じったチューハイをされるがまま飲み干す。
ついには飲みきり、けれども唇を離すことなどせず、深く己同士を交わらせ互いを貪った。
女「お義姉ちゃん……」
義姉「女……」
唇を離すと名残を惜しむように互いに互いの名を呼び、そして義姉は愛しげに女の頭を撫でた。
ヤニの臭いと、煙草の煙が部屋を包むその部屋。そこは――そこだけが女と義姉、二人の世界。二人の全て。
女は恍惚に溶けたとろけた目で、働きもせず家事もしない、自身と半分だけ同じ血を別けた存在を見つめる。
女「大好き」
義姉はその言葉に嬉しそうに頬を弛ませ、学校にいかず親に喧嘩を売るしか脳のない、自身と半分だけ同じ血を別けた存在を見つめ返した。
義姉「私も好き、愛してる」
異母姉妹の二人。実父には先に死なれ、もう血の繋がった肉親で二人の事を理解できるのは、互いの目の前にいる混じり血の、姉妹的にも社会的にもでき損ないしかいない。
だからこそ、二人は互いを求めた。だからこそ、その姉妹は二人して怠惰だった。
「好き、愛してる」
煙草の臭いと怠惰に満ちた二人の空間。
そこに愛の言葉が満ちる。今も、これからも――ずっと。
そこは二人にとって都合のいい世界。煙がくゆる二人の歪んだ愛の世界。
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