201:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/12(火) 16:49:46.09 ID:dQmgm0kUO
煙の海を逃げ出すように階を上がり、少女はその踊り場でへたり込んだ。
魔剣士「少女ちゃん」
少女「大事ねえって言ったろ。……痛いけど、深くねえ」
抑えていた手の指からは、既に血が溢れ始めている。
剣士「バカを言うな、これは浅いわけがない。臓を抉られているはずだ」
魔剣士「少女ちゃん、無理は絶対に駄目よ」
少女「処置の用意くらいしてるに決まってんだろ? っと、いてて……」
マスター。
剣士「どうした?」
少女ちゃんを撃ち抜いたあの野郎、どう思うかしら?
剣士「……俺の考えが甘かった」
違うのよ、そうじゃなくて!
もっとこう、正直に言いたい事があるでしょう?
剣士「撃つなら……俺の身体にすればよかったものを」
そうじゃなくて、マスター。
もっと正直に、ねえ。
負の感情は、抑えつけちゃいけない……生き物には必ず、必要なものよ。
少女『嫌われるような事して、嫌われて生きてた』
少女『……だってさ、ガキだし! そんな上手く生きてけねえもん!』
少女『アタシはな。お前のことは忘れられそうにない。』
剣士「よくも少女を――」
自分の中にある、恐れていた力が灯ってしまう。
恨み、怒り、恨み、悔しさ、怒り、怒り怒り怒り。
っ、思いの外に強い。抑え付けなければ……!
魔剣士「協力ありがとう、マスター。喪われゆく生命よ、命の力よ……!」
しかし、にっこりと笑った俺は掌を少女にかざし、暴れ出る力をその腹部に向けた。
少女「う、くっ?」
剣士「これは……!?」
魔剣士「癒しの力よ。今、代謝に力を加えて炎症を抑えたわ。こう見えても私、魔法使いの弟子なのよ?」
少女の傷は塞がるに至らないが、血はすぐに止まり、顔色を見るに痛みも緩和されていると見える。
暴れかけていた俺の激情も薄れていく……なんとも、頼もしい悪魔だ。
剣士「成る程、俺から力を引き出したかったのだな」
勘違いしないでマスター、貴方の強い力を魔力に変えられるのは、起因する負の感情を私が把握できる時だけ。
剣士「それはどういう事だ?」
平たく言うとね。私も、ムカついたからよ。
剣士「そ、そうか……」
協力、というよりは、共感してくれてありがとう。
ふふっ、こうしてふたりで寄り添える限り、この力は貴方のものよ。
少女「なんか、すげーし分からねーけど……ありがとな、ねーちゃん!」
魔剣士「あら、どう致しまして。さてマスター、私の出番は終わりよ」
分かった……!
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