178: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/02/03(金) 21:06:20.82 ID:opus3Pj50
もう一度口を奪う。もはや食べる勢いで、それでも娘は自分を捧げようとする。先ほどの答えが真実であることを示す為に、だがそれが俺の心を刺激することを知らない。
あった当初の、氷のような無関心の振る舞い。しかし、それでいて足に障害を持つ自分の身の回りを、献身的に世話をしてくれていた。
商人の息子時代、使用人はいた。だが、仕事に対しての義務というように感じられ、家族も疎遠と言っていいものだった。騎士の時代、仲間はいた。だが、いつか会えなくなる。その思いが、親しくさせなかった。部下を持っても、距離を置いた。非情な決断を下せるように。
1人だったと思う。俺の心はいつもどこか一人だった。それが辛かったわけでもない。慣れてしまったというのが、正しい。
そんな俺に、親父の差し金とはいえ使用人としてやってきた娘は、スッと俺の心に入ってきた。それが、悪女でなくてなんだというのだろう。
「命令だ。お前は、俺のものだ」
そして、予想通りで、当然というように娘は喜んだ表情で頷いた。
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