364:名無しNIPPER[saga]
2016/09/20(火) 16:26:22.81 ID:zy1PpNCb0
……吾は負けた。否、結果としては引き分けだった。夜が明けるまで吾と彼女は殺し合い、そして互いの刃が飛んだ。
ーー引き分けやなぁ。でも、これで思い残すことはないさかい、楽しい時間をありがとなぁ。
引き分けなものか。確かに吾と彼女は互角だった。しかし荒ぶる獣の如く、獰猛に剣を振るう吾と違い、酒呑はまるで演舞の如く、美しく、緩やかにその大太刀を振るっていた。
憧れた、否、惚れたのだ。その姿に、在り方に。あれこそ鬼の頂点に立つべき存在だ。奥底に鬼の本質を宿しながらも、その魔性はあらゆるものを傅かせるに違いない。
気付けば膝を折っていた。吾は頼んだ。そなたこそ、大江の主に相応しい。どうか吾らの大将となってくれ……と。
酒呑童子、後に御伽草子で語られる、大江山の総大将が生まれた瞬間のことであった。
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