363:名無しNIPPER[saga]
2016/09/20(火) 16:25:55.80 ID:zy1PpNCb0
元々ーー酒呑は大江山の鬼では無かった。
その昔、大江山の主たる鬼は、他でもない吾だった。数こそそう多くはないものの、母上より授かった大江山で、吾はそれなりに人を畏怖させ、それなりに配下にも慕われていた。
そんな時、ふらりと山を訪れた一匹の鬼が居た。
吾は同じ鬼として、その者を歓迎し、客人として持て成した。久しく他の国の鬼が訪れていなかったせいか、外の話を聞くことは実に楽しいひと時だった。
その後、その者は暫く吾の山で食客として過ごし、それなりな働きを見せていた。
やがて彼女も次の地を目指し始めたのか、山を離れることを決意したようだった。名残惜しくとも、去る者を引き止める理由が吾には無い。
しかし最後の夜、宴の終わり、山を去ろうとした彼女に向かい、配下の一人がこう言った。
ーーどうせなら、最後に我らが頭と剣を交えて見る気は無いか。その一振り、どこまで頭に届くか試してみては如何だろう。
酔った勢いではあったが、その話に吾も乗った。思えば彼女と刃を交えたことはまだ無かった。
彼女は少し迷っていたが、記念に一度、と得物を抜いた。身の丈ほどもある大太刀は月明かりの下で妖しく煌めきーー、一瞬にして酔いが覚めた。
強い。その奥底に宿るのは紛れもなく龍神だ。吾はこの者の何を見ていたと言うのか。そこで初めて吾は、底知れぬ妖気を感じたのだ。
久しく血沸き肉踊る狂宴。吾は心の底から楽しみ自らの腕を振るった。そして、
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