37: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 20:43:29.05 ID:4yJ+Tv6jO
保健室に先生はいなかった。
代わりに、
「先に水で洗い流すよ」
やすはが救急箱を取り出しながら言った。やすはのお母さんは確か看護士だったから、それで慣れてるのかもしれない。
「なんであんなことしたの」
ペーパータオルをどこからか持ってきて、脇に置く。
「ボール渡したやつ? あれは、なんか欲しそうにしてたからつい」
「……それもあるけど、上林さんかばって下敷きになったじゃん」
「あれ? それは偶然。私が巻き添え食らう所に立ってたからで……」
「そっか」
膝を水で洗い流そうとしてくれていたので、
私は自分でできると止めたが、
「いいから」
と、細い指で極力傷口に触らないように洗ってくれた。
それでも染みて、私は苦渋の声を漏らす。
「我慢しなよ、男の子でしょ」
「いや、女の子だから」
130Res/101.95 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20