39: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/05/29(日) 21:12:36.54 ID:4yJ+Tv6jO
「これ、タオルちゃうやん。やすはの手やん」
ノリツッコミ。
「うん」
髪から頬へ滴がつたっていく。
タオルは椅子にかけられたままなのだろうか。
びしょ濡れの私の手を、彼女は握っていた。
なに?
「目、開けないで」
もう片方の手で、目元を遮られたのがわかった。
「は、はい」
「私だって、いやなのに」
彼女の方が背が高くて、少し上から声が聞こえた。
手が、顔の下にずるりと落ちる。私は口元を覆われた。
指に鼻息がかかってしまうと思い、私は呼吸を止めた。
苦しい。
おでこがこすれたのか、痛みが遅れてやってきて目を開けてしまった。
彼女のふせられた睫が目の前にあって、あろうことか、自分の手に唇を押し当てていた。
慌てて、後ろに後ずさった。
「あ、あの、やす……」
私は口元を抑えた。
やすはは数秒自分の手の甲を眺めていた。
「別に、口になんてしてない」
「ごもっともです……」
私は、手を外す。
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