アルビノの女「……いくらですか」黒髪の娼婦「お気に召すまま」
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◆aUbK72/AnA
[sage]
2016/07/02(土) 19:57:42.29 ID:kdhH8zi40
『――――パブリック・アドバタイザーが、正午をお知らせします』
『本日の新都市東京は快晴です。ただし午後からは全域で雨となり、特に北東部では――――』
掠れた青で塗られたような空から、灰色の陽光が降り注ぐ。乾いた空気が人混みに湿る、四ツ谷の大通り。
黒い外套に黒いガスマスク、黒いフードを被ったその女は、やおら路傍で立ち止まる。錆びたトタンの庇の下である。
如何にも出稼ぎに来て稼げていない、という見窄らしい露天商が、彼女の片足を引くように話しかけた。
露天商「買多啲啦」
大陸系の顔をしたその東洋人は、ワンタンで出来たような唇で何かを言った。ふう、と彼女は溜息を吐いた。
女「――――マーク4号L型≠ミとつ」
ワンタンの唇が急に萎びて引き締まった。何も言わずに、露天商は立ち上がった。
自身の身体で隠していた背後の扉を、恭しく引いた。やたらに冷えている、空調の効いた空気が吹き出す。
「謝謝」マスクの下から微笑みを投げて、その女は扉の中に入っていった。彼女を見送って、露天商はまた扉を己の背で封じた。
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