16:名無しNIPPER[saga]
2016/07/03(日) 00:56:21.28 ID:1a597gsV0
芳乃
「わたくしは探し続けていたのですー。そなたのまことの幸せをー。
そなたが誰かを愛し、子を成してー、そして笑って旅立てる日が来ると信じてー。
ですがー、待てども待てどもその日はやって来なかったのでしてー。
そなたは多くの人々の輪を繋いできたがゆえ、おのずと人々の運命に寄り添う定めにありますればー。
わずかなすれ違いやー、時間の揺らぎでー、そなたの未来は千変万化に分かれゆくもののー。
わたくしが繰り返してきた時間のなかー、そなたが本当の意味で、そなた自身の意思で選んだ道はただひとつもなくー。
自ら命を絶つかー、誰かに奪われるかー、心を喪い生ける屍となるかー。
なんにせよそなたの最期はー、常に慙愧と後悔に満ちておりましたー。
そのたびにわたくしはえにしの輪を閉ざしー、円環を紡ぎ、幾百、幾千、幾万とー、ただただ同じ時を繰り返してきたのですー。
しかし幾度も幾度も繰り返したがためにー、そなたの因果は徐々に捻じれ、ひずみ、傷ついて、狂ってしまったのでしてー。
紡ぎ直した編み物がー、まるで毛糸がほつれるようにー、いびつにゆがんでいったのですー。
そしてそなたの運命に寄り添いあうー、あまたの乙女たちの因果もまたー、そなたとの因果に影響されー、壊れ始めてしまったのかー、繰り返すほどに心を病んでいるように見受けられますー。
いかにわたくしが綻びなく円環を紡ごうとー、何千と繰り返されたそなたの悲劇はー、彼女たちの魂の奥深くー、塵のようにつもっていったのでしょー。
そなたの未来はいわば万華鏡でしてー、あらゆる未来が混沌と渦巻いておりー、繰り返された過去を顧みればー、多くの乙女たちと一度は結ばれているのですー。
これは言い返せばー、それだけ彼女たちがそなたを喪ったということでありー、いくら記憶がなくともー、その悲しみや、恨み辛み、妬みや嫉みは、魂の中に残っているのでしょー」
31Res/39.67 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20