92:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 13:02:26.99 ID:SfwyFCTI0
第30話 そして歴史は繰り返す
始まりの国、ユーリ城地下。
旅の扉から現れる死体を、国王は無感情に見つめた。
側近達が慣れた手つきで死体を片付け始める、続いてふくろから武器を取り出し、王の前に並べた。
王は手に持った杖をかざす、すると武器は星屑に戻り、魔物の心が杖の先の水晶に吸い込まれるように収まった。 透明だった水晶が淡い赤色に染まる。
後に残ったのは、勇者の剣、戦士の斧、僧侶の槍、魔法使いの杖の四つだけだった。
側近A「武器たちはすぐに解析に回します」
王「うむ」
王はうなずく。 これもすべて、この平和を維持するために必要なことだ。
迷宮の攻略ルート、そこに至る過程はすべて武器が知っている。 極限状態を要求する迷宮を前に、その時の行動や思考をトレースすることでこの勇者の剣は常に時代に適した人物の選定を可能としていた。
この作業をこなす王や側近たちに罪悪感はない。
王や側近は、世襲制ではなく初代勇者により作り上げられた試験を突破した者にのみ与えられる役職であったからだ。
次世代の王もその側近も、人からの信頼や実績ではなく、定められた試験を突破することでまた選ばれる。
よって維持される。 この平和も。
それはこれからも変わることはないだろう。
側近B「最近反逆者と思わしき者たちが大きな動きを見せていますが、……いかがなさいますか?」
側近の一人の言葉に、王は目を閉じた。
王「放っておいても問題あるまい。 どうせ奴らはこの試練を突破することしか頭にないのだ」
本物の勇者以外に突破しようのない試験だ。 それに剣の履歴を見れば反逆者と思わしき人間は一目でわかる。 その人間を秘密裏に処理する。 また反逆者のデータ分析が、まだ半分に達していないということも履歴からこちらは掴んでいるのだ。
問題ない、少なくもの今後100年は。
王は無表情に、次に勇者の剣を中庭の祭壇に突き刺す日を考え始めた。
王の杖の先についた水晶の中で、魔物の心が小さく蠢いていた。
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