91:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 12:58:52.26 ID:SfwyFCTI0
第29話 33回目の決着
そんな勇者が不自由に口にした言葉は単なる反射にすぎなかった。
勇者「……なんで……」
「第三十三回の勇者の冒険もこれで終了だ、今までご苦労だったね」
勇者「……なにを……!」
勇者はそこでハッとする、そいつの手にはいつの間にか力場の杖が握られていた。
そいつの側面に召喚される武器群。
武器の種類は勇者の剣と僧侶の槍が多いようだった。 武器の形状から射出に適した武器を展開していると見定めた勇者は、突発的に呪文を放つ。
爆雷がそいつに向け放たれる。 しかし勇者はその瞬間視認していた。
そいつの目の前に、魔返の斧が召喚されていることに。
斧の側面から反射された雷撃が勇者に襲い掛かる。
勇者「……ッ」
即座に相殺することをあきらめた勇者は、爆雷の直撃と同時に回復呪文を自分にかけた。
破壊される体が次の瞬間には回復していく、破壊と再生の激痛の中で歯を食いしばり、呪文をやり過ごした勇者。 その勇者に対して剣と槍が次々に射出された。
勇者「ハァッ!!」
勇者は王者の剣を振るい武器群を次々と撃ち落としていく。
弾ける火花と響く金属音の先、魔返の斧を盾に射出と召喚を繰り返す相手の姿に勇者は顔をしかめた。
防御に徹しても埒が明かないと判断した勇者は地面を蹴る。
武器群が勇者のいた地点に次々と突き刺さっていく。
突撃してくる剣と槍を躱しながら、側面を回り込むように距離を詰める勇者。
相手の攻撃の性質上切っ先をこちらに向ける必要があることに勇者は気が付いていた。
相手を中心に円周上に駆ける。その結果射出の標準合わせや、それと並行した武器の展開、複数の処理を強制することになり相手の攻撃の密度を減らした。
ある程度距離を詰めた勇者は、足を踏ん張りその場に停止する。 目の前に迫る剣を剣で撃ち落とすと、急停止の反動を利用して直線状に相手に迫った。
円状の一定の動きで刻まれたリズムを崩され、剣と槍の照準が狂う。
勇者は盾のように配置された魔返の斧を王者の剣で弾き飛ばし、その先の相手へ向け手をかざす。
勇者「!?」
斧により死角になっていた相手の片手には杖の束が握られていた。
それは勇者に向けかざされている。
そして花束のように手握られた杖達が――攻撃呪文を内蔵した杖の束が――火を噴いた。
勇者「 」
複数の攻撃呪文効果を含んだビームが、勇者の胴体に着弾する。
勇者は後方に吹き飛ばされ、胴体から煙を吐きながら地面を転がると壁に体を打ち付けた。
勇者「――ッ ――ッ」
激痛に息ができず、目に涙を滲ませながら勇者は声にならない声を上げた。
そんな勇者の四肢を四本の槍が貫いた。
勇者「――ッ」
回転しながら飛んでくる斧が勇者の肩口に突き刺さる。
勇者「あがぁあっぅ!!」
肩から血が噴き出す、返り血に汚れる斧が魔封の斧――触れたものの呪文を封じる斧――であることを認めた勇者は、完封されたことを察した。
そいつはゆっくりと無力化した勇者の前に歩く。
「さて、死ぬ前にこちらの質問にいくつか答えてもらおうか」
血を流し凍える体を震わせながら、勇者は戦慄する。
「最初にあったはずの女神の質問、その内容を話してもらえるかな?」
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