46:名無しNIPPER[saga]
2016/08/14(日) 23:54:14.64 ID:rIUQyY5dO
愛「間違ってる」
桧山が不意に静寂を破った。
強い言葉ながら、存外感情的な色が見えない。
愛「死んでから掴みたかった糸を知っているのに、どうして死のうとするの。おかしいじゃん」
龍人「死に急いでるのとはワケが違う! 誰かの筈の居場所を埋めてまで、移りたい世界が無いんだ!」
愛「……。そんなに、本州が怖いの?」
龍人「こわ、怖くなんかっ……!!」
いつの間にか、俺の息が荒い。
立場が先と逆転している。
愛「怖いよ。あたしも。」
愛「お父さんが連れてくれる新しい場所……どこかもわからないし、土地や住所の問題だけじゃなくて隣近所に何が居るかもわからない」
愛「お父さんの腕が外で如何程か分からないけど、あたしも働かなくちゃいけないかもだし」
本州の情報、情勢については島に届く限られた電波の中で知り得る事だ。
しかしながら、その限定的な情報でさえ崩壊・滅亡する社会のひずみをありありと伝えてくる。
桧山も知らないという事はないだろう。
まともに働いてまともに飯が食えるかも怪しい。
俺たちには力も無ければ自己も無い。
内外の混沌に耐える依り代も無い。
仮に一緒に行っても……俺は桧山の友人としてその依り代には成り得ない。弱すぎるのだ。
愛「そもそも。」
愛「龍人としずちゃんが似片寄ってるとは言えど、龍人の理屈の半分はしずちゃんの借り物でしょ?」
龍人「……。確かに、そういう見方もあるわな」
愛「あたしが見る限りはそうなの。しずちゃんも同じ、龍人の思う事言う事が半分は入ってると思うな」
訂正しよう。
この少女が馬鹿だなんてとんでもなかった。
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