5:名無しNIPPER[saga sage]
2016/08/07(日) 22:55:46.07 ID:uoymnQQV0
静流に並び、水平線を見つめる。
海の色はわずかに濁り、エメラルドに輝く。
静流「……もう、沈みはじめてるのね」
龍人「ああ」
その昔、古き伝承に「賢者の石」というものがあった。
万物を溶かし、金と成すための触媒とされる霊薬。
今、その名を「メルティウム」と呼ぶ。
海に漂う霊薬とされた物質は、地球のあらゆる物質を海中から緩やかに分解し、文明を静かに水に帰そうとした。
2世紀も前、初めに作られたメルティウムが大陸の河に流されたのがすべてのきっかけであったという。
メルティウムが賢者の石として例えられる理由。
それは、化学的な例外として特筆すべき性質を含むからである。
『メルティウムが溶かした物質は、ゆるやかな時を経て反応し、メルティウムと変化する』
元素からなる化学の概念を覆してしまった発明と、誰かが起こしたひとつの過ち。
成す術もなく広がる融解と、最初で最期の滅亡に直面して壊れる社会のシステム。
そして時は流れ、人は自らの文明を終着としてひとつに融解し、原初に還ろうとしている。
生まれた時から教科書に載っていた。その受け売りを覚えている『沈没期』の少年少女。
何故この時代に生まれたのか、選べない分からない双子は……たった18歳という歳で世界と海面に向き合っていたのだった。
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