一ノ瀬志希「あたしとキミのイケないセカイ」
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19: ◆Freege5emM[saga]
2016/09/20(火) 00:07:01.34 ID:akwuyLFfo

●02-08

目が覚めると、窓の外は明るくなっていた。

あたしの気分は血液をすべて水銀に入れ替えられたようにドロドロと重くて、
プロデューサーがノロノロと身支度しているのを、
いつの間にか載せられてたソファで寝転がって黙って眺めていた。



キミをあたし以外のすべてから引き離して、二人だけのセカイに閉じ込めたハズなのに。
媚薬に毒されてたあたしは、確かにキミの存在だけを感じていたハズなのに。

そうしたら、かえってキミの姿がおぼろげになって、終いには消え失せちゃう。
キミも、あの時カラダではあたしだけを感じていて、でも意識からあたしのコトは飛ばされてたのかな。



不意に、グズグズとこもったバイブの振動が鳴る。
あたしのとは、パターンが違う。プロデューサーのかな。

プロデューサーは、ソファのすぐ近くに落ちてた携帯を拾った。どうやら着信らしい。

あたしは、スピーカーから漏れ聞こえる声が、誰のものか分かっちゃった。



――周子ちゃん?



あたしは手を伸ばしていた。
プロデューサーが携帯を握っている右手とぶつかって、
プロデューサーは携帯を取り落として、
あたしはそれを横取りするように拾い、周子ちゃんに――



「あ……切れちゃってる。キミが、通話切ったの?」

プロデューサーは唖然としてた。あたしも自分に驚いてた。

プロデューサーに串刺しにされて、イキそうになってた時より、アタマが熱い。



あたしは今、ナニをしようとした?
周子ちゃんに、あたしとプロデューサーが昨夜したコト、暴露しようとしたの?
そんなコトしたら、あたしもプロデューサーも、タダでは済まないのに。

でも……でも、あたしは、周子ちゃんだけじゃなく、もっと――



「ああ、にゃはは、分かった、あたし、キミの言ってたコト分かっちゃったよ」

照明の落ちた聴衆席からのスタンディングオベーションが、
スポットライトに照らされた周子ちゃんの戴冠を証明したように、

あたしとキミのセカイを証明するのに必要なものがあって、でもそれは――



「確かに、アイドルとプロデューサーでこんなことシテたら、ダメになっちゃうね……♪」





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