270: ◆GXVkKXrpNcpr[saga]
2017/02/07(火) 08:12:01.01 ID:5orYg2PVo
大きな存在からゆっくり別れていく。自分が自分としてまとまっていく。
少し名残惜しい気がした。
(じゃあ、帰らなきゃいいんじゃない?)
そんな気持ちにつけこむような囁きを聞いた。
「帰るよ。用は済んだ」
(わかってるだろうけど、あんたはこの先あまりいいことないよ?)
「かもね」
(さんざん好き勝手できたのも魔法があってこそだったじゃん)
「よくわかってる」
(あたしが代わってやってもいいんだよ)
「いやだよ」
(いい気分のままここで眠っていられるよ?)
「ごめんだね」
(面倒くさがりのくせに。少しは考えなよ)
「考えたよ」
(あの子がいるから帰るの?)
「うるさいな、それだけじゃないよ」
(あの子のどこがいいの?)
声に笑いが含まれている。
「うるさいよ」
(答えられないの?)
「うるさい」
(まあ、これ以上は足止めしないよ。せいぜいうまくやるんだね)
ずっとあたしと一緒にいた。捨てたと思っていたけれど、ある時は背中を押しまたある時にはブレーキをかけた。
「知ってる。あんたはあたしだ。わかってるから」
「だから任せろ」
「これからどうなったって、なんとかやっていくから」
もう返事はない。
杏子は帰る。
しかし着地はすんなりとはいかなかった。
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