279: ◆GXVkKXrpNcpr[saga]
2017/02/07(火) 09:11:28.64 ID:5orYg2PVo
目的地が近づいてきた。この辺りはもう街の明かりはほとんど届かない。さやかは視力を強化させる。
巨大な瓦礫の山──ビルがそのままの形でブロックのように積み上がっている箇所もある──が連なり始める大分手前に高いフェンスが張られていた。まどかを横抱きにしたまま一足で飛び越えると中にはプレハブの建築物と何台もの大型重機が整然と並んでいた。
(ん?)
さやかはフェンス内側に建ててあるポールに監視カメラが設置されていることに気付く。
(こんなとこ入ってくるやついるの?)
剣を飛ばしてポールごと切り落としておいたが、侵入の様子はばっちり録画されていそうだ。
(まあいいや、なるようになる。……はず)
(なにか盗んだり壊したりするわけじゃないし。友達を助けに来ただけだもんね)
ここを訪れるのはあの戦闘以来だ。様子はあまり変わっていないように思う。つまりは撤去作業がまだほとんど進んでいないのだろう。
脆くて険しい絶壁を駆け登り、跳び移り、飛び降りて一番内側へと急ぐ。
二人が辿り着いたそこは不自然な平坦に見えるが、実はすり鉢状の窪地だ。常識はずれのスーパーセルは建物を基礎ごと地面から剥いだ。
ここは魔法少女たちがワルプルギスの夜の進行を止めた場所、魔女があの日一番長く留まった場所だ。
さやかはまどかを地面に立たせて雷の音に負けないよう耳の近くで話しかけた。
「大丈夫だからね!」
こくこくとまどかは頷く。雷雲はしつこく頭上に居座り続け、次々と光っては轟音を響かせる。
さやかが魔力で防護してくれていることはわかっていたが、それでも身がすくんでしまう。
「絶対まどかには落ちてこないからっ」
その通りなのだろう。雨と雹が降りしきる中、身体はまったく濡れていない。不思議だ。
「う、うん、ありがと」
怖がりながらもまどかは何かの兆候を探して神経を尖らせる。雲が禍々しく光を籠らせているので周りの地面がぼんやり見える程度の明るさはあった。
大粒の雹が降り始めた。丸い氷の粒が地面に溜まっていく。
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