39:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 23:31:03.64 ID:07erujco0
放課後、指定されていた公園で、真っ暗闇にオレンジの街灯が浮かぶ中、思いのたけを伝えられた。
二人の吐息は、別々のペースで夜空に散っていた。
恥ずかしさでマフラーに顔を隠し、泣きそうな笑いそうな声で告げられる想いは、埋没していた俺のかつての気持ちをすくい上げ、優しく揺さぶった。
この子を好きだったころの記憶が洗われてゆき、どうして今まで忘れていたのだろうと自問した。
この子にここまで言わせてしまっていることを自責した。
俺は最後の告白に答えた。
他の答えはありえなかった。
今も、彼女との交際は続いている。まだまだ先の話だが、このまま結婚まで、という予感もある。
ただ――今は地元からいなくなってしまった鷹富士のことを、たまに思い出す。
あの時、俺が彼女の告白を断り、鷹富士へ告白をしていたら、どうなっていただろう。
どうあがいても、鷹富士が俺の隣にいるところは想像できなかった。
きっと皆が不幸になったのだろう――そこまで考えて、俺は無意味な仮定を振り払った。
鷹富士に、その周辺に不幸は似つかわしくない。それが、必然だったのだろう。
そしてぼんやりと――鷹富士の幸せには、俺という要素は必要なかったんだなという結論に至る。
微かな痛みを覚える。俺は、鷹富士の歩む道から丁寧に取り除かれた小石だったのだろう。
鷹富士は皆を幸せにして――じゃあ誰が、鷹富士を幸せにする。
その心配をする資格すらなくて――俺はただ、与えられた幸福を、甘受する。
63Res/73.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20