明日を追い越して
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41:名無しNIPPER[saga]
2017/01/07(土) 18:03:52.14 ID:zydZiEog0


男「どこも行きませんから……変なこと言わないでください」

彼女の手は小さいが温かく、同じ手とは思えないくらいしなやかで柔らかい。


女「……ごめんなさい」

男「俺も、役得ですから。」

お堅いコートに身を包んでいるとはいえ、強く指まで絡めて隣に置いた彼女。ほんの少し、男として優越感にだって浸る。
見る目には清廉で、振る舞いは淑やかに、口を開けば愛らしく、覗く心は甘えん坊。


女「そんな……自信ないですよ。でも、ありがとうございます」


彼女は控え目に微笑み、それでも充分に嬉しそう。




ああ、いい。
彼女の言葉や仕草には、社会の言葉や雑踏の声から漂う紛い物の香りがしない。

男「普段買い物に行ったり、おめかししたりは好きなんですか?」

女「あ……はい。やっぱり、私も女ですから……小綺麗にしたいなって」
女「似合わない、ですかね? その。お堅く見えるみたいですし」

男「まさか、横で見るのが楽しみでしょうがないです。買い物嫌いだったら許しましたけど、好きと言うなら……今日は満足してもらうまで付き合いますからね」


彼女が欲しいという、暗い気持ちの中に。
ただ喜んで楽しんで安らいで欲しいという、想いがひと粒。


女「……色々、買いますよ?」

男「ふふ。あっちの方、気になってるんですよね? きっと似合うと思います」

女「うっ。なんで分かるんですか……」


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