6: ◆NERDVAqS3I
2017/01/16(月) 23:00:58.96 ID:6j4Pz0iq0
もちろん、美優さんからの誘いを断れるわけはない。家は駅から少し外れたマンションだった。上京してきた時からそこに住んでいるらしい。
「ご飯を用意しますので少し待っていてくださいね」なんて言われたものの手持無沙汰でどうすればいいのかわからなくなる。さすがにここにきて仕事をするほど酔狂ではない。
適当に部屋を見渡す。イメージ通り片付いた部屋、とはいえ何もないわけではない。仕事から興味を持ったことがあると言ってたのも本当のようで美優さんの趣味に使うものがちらほらと置いてあるのが分かる。
少し部屋を見ている間に美優さんの料理が終わったようだ。随分と手際がいい、慣れているのだろう。
「……お待たせしました。すいません、今日はあまり時間が取れなかったので簡単なものですが……」
「いえ、ありがとうございます」
出てきたのはカルボナーラだった。無難な選択であることに安堵する。美優さんは無意識にお袋の味なるものを再現してきたリ、グラタンだとか妙に凝ったものを用意してくるかと正直思っていた。
バレンタインのときなんか……いや、この話を思い出すのはやめておこう。
「あとは……少し、お酒とか……、チューハイ。ジュースですけど」
「ん……そうですね。一本くらいなら。まあ電車かタクシーで帰ります」
「それじゃあ……、いただきます」
「いただきます」
酒の入ったグラスをカチンと鳴らす。一口飲んだあと、早速パスタを啜った。……美味しい。インスタントのできあえというわけではなさそうだ。
「美味しいです。こう、上手いこといえないですけど」
「それは……私の仕事ですね。ともあれお口にあったなら、なによりです」
「それにしても、今日は突然……正直びっくりしましたよ。高垣さんとか川島さんなんかと美優さんの家で飲んだり?」
「そうですね……そういうこともしてみたいな、とは思ってるんですけど。家に上げたのはPさんが初めてですよ」
「それは……光栄なことで」
美優さんはしれっとこういう事を言うから困る……。顔が赤くなってしまってないだろうか。
食事を進めながら、会話を弾ませる。アロマテラピーの話をしてもらった。最近の美優さんの流行りはジュニパーなるものなんだとか。冬の寒い時に丁度いいものらしく匂いを嗅がせてもらうとたしかに体が温まる気がした。
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