勇者「淫魔の国で風邪をひくとこうなる」
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12: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2017/01/23(月) 00:27:40.22 ID:fQSRpZJAo

サキュバスAがようやく退出すると、寝室の中は一気に静まり返った。
勇者は声を出すのも億劫なばかりか、姿勢を変える事でさえ酷く気だるく感じる。
いがらっぽさがまだ喉に残り、咳き込むたびにズキズキ痛んだ。
ぼうっとした熱が頭の中に籠もり、目も潤んできたのに、それに反して寒気がある。
“勇者”じゃなかった時代にかかった、何という事も無い感冒と同じで……懐かしさだけがある。

堕女神「まったく、彼女ときたら……。そろそろお眠りくださいませ。明日は、お体をお拭き致します。今日のところは……どうか」

勇者「……悪い、な」

堕女神「いえ、陛下の御身体の為……と、申し上げたいところですが……」

勇者「え……?」

布団の中で――――温感の鈍くなった手を、それでも熱く感じる華奢な手が握った。
ふと、堕女神の顔を見れば……黒真珠のような眼が潤み、その中にある紅と細い瞳孔が、たよりない火のように揺れていた。

堕女神「私、は……あんなに、怖くなったのは……初めて、でし、た……」

絞り出すような声は、震えている。
幾度も詰まる言葉の終わりには、とうとう嗚咽までも混ざった。
手を握り返してやって……しばらくも、彼女の震えは治まらない。



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