48: ◆y7//w4A.QY[sage]
2017/03/21(火) 00:21:36.32 ID:xkDY8utw0
- バンドギア城 広間 -
「こちらでお待ちください」
王宮内の警護を担っている衛士からの案内を受け、目視できる紫に光る結界が張り巡らせていた重厚な扉がゆっくりと開いていく。
一時的に解除しているのだろうか、まるで、水面に雫が落ちたように波紋が広がっていった。
けっこう綺麗な光景だ。
中に広がるは、予想の範囲をでない応接間だった。
長方形のテーブルを中心に、椅子が十数個並んでいる。装飾品などは高級品なのだろうが、よくある金持ちの一室といった感じ。
ベニ「ここは、普段は会議が行われたりする場所。重鎮達が集まって重要な話もするから、防音の意味もあり結界がある」
ふぅん。防音なんて使い方もできんのね。
ベニ「ジョルは今、王様に時間を作ってもらうため、直接話をしにいっている。私達はここで待とう?」
あ、そういや城についた辺りから見かけないと思ったらそういうことか。たしかに王となれば政務に追われて暇ではないのかもしれない。そんな国の為に働いてる人に俺が村人Aだと証明するためにご足労いただくのは良心が痛む。
ミラ「私も、王様に会うのは初めてなので緊張します」
カルア「ちょっと変わってるけど、悪い人じゃないよ……」
なんだろう。この場にいる面子を見て変わっているという表現がでてきたことに対して嫌な予感しかしない。
ベニ「暇なら、もう少し詳しく精霊の説明をする。カケル、聞いて」
カケル「どうぞ」
二つ返事に満足気に頷くベニに続きを促す。どうせ嫌だと言ってもするんだろうがファック。
ベニ「カケルには精霊神様の洗礼の後、魔法の修行をしてもらう」
ミラ「え、でも、カケルには必要ないんじゃ」
ベニ「使えると知るということと、実際に使うのは別。感覚を身体で覚えてもらう。じゃないと、カケルが手加減無しに魔法を撃てば国が滅ぶ」
カルア「そうですね……」
ミラ「そ、そんなに?」
ベニ「ミラも見たはず。だから、カケルが勇者だとわかった」
ミラ「は、はい。ですけど、そこまでとは……」
ベニ「ミラがまだまだ未熟なせい。これまでの勇者もそうだったかわからないけど、カケルの精霊はとんでもない。それはもう、私達が束になっても、敵わない。とにかく、とんでもない。それが、カケル」
おいおい。だからそんなのは君らが勝手に言ってるだけの勘違いだっての。
ベニ「そこで、カケルにはどうしてそうなのか知ってもらう。カルア、抜けがあったら補足して」
カルア「は、はい」
カルアもゴクリ、と喉を鳴らしてうなずいている。
ベニ「カケル、魔法を詠唱するためにはどうしたらいいか知ってるよね?」
あん? そんなもんは一般常識だろ。魔法を放つには、体内の気と精霊の力を杖というバイパスを借りて撃ちだすんだ。
ということは、詠唱するためには、体内の気を練り上げる所から始めなければならないということだ。
ベニ「今までの常識を一度全て捨てて。カケルは気を練り上げる必要はない」
カケル「……え?」
ベニ「私達は『精霊の力を借りる為に気を練り上げる必要がある』……だけど、カケルは既に精霊から愛されている。つまり、気という代償を差し出さなくていい」
ミラ「ちょ、ちょっと待ってください! そ、それって……」
ベニ「――そう。カケルの気は言ってみれば無限。どれだけ莫大な威力の魔法もその気になればすぐにでも放つことができる。気を練り上げるという苦労や、代償による躊躇をせずに。どれだけデタラメな存在かわかった?」
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