勇者「幼馴染がすごくウザい件」
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55: ◆y7//w4A.QY[saga]
2017/03/22(水) 22:15:50.56 ID:hzBy34Hj0
- バンドギア城 広間 -

カケル「――大丈夫だよ」

もちろん嘘である。こう言わないと刺されそうな、というのは比喩ではない。
俺が何度、命の危険を感じたかおわかりいただけるだろうか。いや、これは、経験してみなければわからないだろう。
よく思い返せば、ミラがこのように思い立ったように縋る節を見せたのは初めてではないような気がする。
これまでに少なくない回数で経験があった。

ただ、まさか俺が勇者だと勘違いしていて、その為に自分の実力を披露していたとは考えつかなかった。落ちこぼれの俺に対して天才級のミラが嘲りを言っているとさえ思っていた。
泣きそうな顔をするやつへの対処法はひとつ。俺は取り繕ってミラの頭に、ポン、と手を置く。すると――

ミラ「ありがとう……」

穏やかな笑みを浮かべて、安心した表情のチョロい女がいた。たまらなく、たまらなく嫌ではあったが、そのまま頭を撫でてやる。あくまで保身のためだ。

ベニ「少し、羨ましい」
カルア「ふふ、私たちにも勇者さまみたいな幼馴染がほしかったですね」
ベニ「うん」

助けもせずなに言ってやがる。
俺がこんな爆弾みたいなやつを幼馴染に持った気持ちをわかってるのか?

「宮廷魔術師ベニ様、王様がお会いになられるそうです」

――コンコン、とノックの音から少し遅れてくぐもった声が聞こえてきた。
ようやくか。勇者じゃないと証明してはやく村に帰りたい。しかし、宮廷魔術師だの、五大魔術師だの大層な肩書きばっかりだね。
本当にこんな子達が村人からすれば、雲の上みたいな地位にいるのだろうか。

ベニ「どうしたの?」

じっと訝しむ俺にベニは首を掲げて聞いてきた。まぁ、ちょっと聞いてみるのもいいかもしれない。どうせ今後会う機会もないだろうし、母さんへの土産話にたしかめておくか。

カケル「宮廷魔術師と五大魔術師って……」
ベニ「あぁ、宮廷魔術師は役職の名前。五大魔術師は通り名みたいなもの」
カルア「私たちはそれぞれ仕事がありますから」

控えめにカルアが頷く。
初めて会った時から思っていたが、このオドオドした雰囲気といい、控え目した態度といい。容姿こそ控えめに言っても美少女で魔法に関しても天才なんだろうが、俺と通じるものがある。ミラよりは全然タイプだ。
カルアは俺と相性が合いそうな気がする。
地味目だからという理由では考え方が卑屈かもしれないが、これが落ちこぼれ目線というものだ。
――さて、たいして得にもならない情報を仕入れた所で、王様に会いに行きますか。


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