56: ◆y7//w4A.QY[sage]
2017/03/22(水) 22:49:14.14 ID:hzBy34Hj0
- バンドギア城 謁見の間 -
バンドギア王「余がこの国の王であ〜る」
無言で跪く俺を前に、憧れをぶち壊す物体が目の前にいた。
バンドギア国では、賢王とされている人物である。
幼少期から比類なき才能を見せ、凍えるような寒さだった不作も善政を敷き乗り越えた。
この国で生きるものならば、少なからず尊敬の念を抱く象徴的存在、ヒエラルキーの頂点がこんな巻き舌で喋るとは。
背が今よりも半分以下の歳の頃、王都には一度来たことがある。その時もこの王が民の前で精霊神の演説をしていたはずだが、語尾はしていなかった。
あらかじめ用意された原稿でも読んでいやがったのかね。
ベニ「王様」
粛々と、こうべを垂れてベニが口火を切った。
ベニ「ジョルが、見当たりませんが」
バンドギア「やつには所用を申しつけたのであ〜る」
ベニ「では、そちらの方は?」
視線だけで見た先には、露出度の高い服をきた女性が佇んでいた。
歳は俺よりも少し上ぐらいだろうか。興味津々といった瞳を輝かせ、俺たちを眺めている。
バンドギア王「彼女は来賓であ〜る。勇者を拝見したいと言うから立ち会わせているよであ〜る」
いちいち気にさわる喋り方すんじゃねぇ!
トモエ「――ご挨拶もせずに失礼いたしました。宮廷魔術師ベニ様。わたくし、ユーク国から使者として来ましたトモエと申します」
バンドギア王「よい、よい。これ、ベニ、失礼であ〜る」
ベニ「……はい。失礼、いたしました」
なんだか、変だ。ベニは謝ってはいるものの、その表情はなぜか、警戒しているように見える。不思議に思い、カルアとミラを見ると、二人も同様にトモエと名乗った女性にきつい視線をぶつけていた。
トモエ「うふふ、まだ洗礼を受けていないのでしょう?」
――トモエの怪しく光る瞳が、俺に向けられようとした、その時だった。視線と視線が交差する線上に、ベニが仁王立ちで立っていた。手には杖をかまえている。
俺からはベニのトンガリ帽子しか見えなくなってしまった。
ベニ「今、なにをしようとした」
トモエ「なんのことでしょう?」
ベニ「王様……この人、本当に、ユーク国の?」
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