34: ◆JfOiQcbfj2[saga]
2017/05/07(日) 01:34:27.43 ID:upUN87ha0
「そんなに謝られたら何だか、嫌々つけちゃったみたいに聞こえて嫌です……せっかく、せっかく沙紀さんと恋人になれたと思ったのに」
「響子ちゃん……」
沙紀は心の中で今日何度目になるかわからない後悔と懺悔をしていた。結局謝りたいのは自身の保身でしかなく、響子のことを全く考えていなかったのだ。
聞こえないように息を吐いて、沙紀は抱き着いている響子の背中に手をまわした。
「ごめん、響子ちゃん。結局アタシは自分の事しか考えてなかったっす」
「…………」
「ただ嫌じゃないっす!ただただ響子ちゃんに嫌われたくなくて……」
そう聞いて響子はそれならと前置きをして口を開く。
「ちゃんと私のこと、好きですか……?」
「好きな気持ちは本当っす。一人の女性として愛してるって言ってもいいっす」
「……もう」
響子の声色がいつも通りに戻る。抱き合ったまま上半身を少しだけ離すと改めてお互い見つめなおす。
そして沙紀は仕切りなおす様に謝った。
「とりあえず、キスマークの件は本当に申し訳なかったっす。これからは気を付けるっす。はい」
「これからって、また、その……するんですか?」
そう言って響子は顔を赤らめて少し目線を外した。沙紀はアッと思い慌てた。
「え!?あ、い、嫌だったっすか?も、もしかして昨日の時もあんまり」
「ふふっ、沙紀さん慌てすぎですよ」
「え?」
響子は顔は赤いままだが笑っている。
「その、あんまり激しいのはあれですけど……愛してくれるなら、その、いいです」
「……もちろんっす。これからもずっと一緒っすよ。もう離しませんから」
「……はい、よろしくお願いします」
沙紀と響子は日の光を取り込んだ明るい部屋の中で、自然と唇を合わせてお互い幸せそうに微笑みあっていた。
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