6: ◆JfOiQcbfj2[saga]
2017/05/07(日) 01:06:43.24 ID:upUN87ha0
「えー、いいじゃないっすか。どっちにしろ発売されたら見るし」
「そ、それはそうですけど……」
観念したのか響子は顔を伏せた。ちらっと見えた耳が真っ赤なのはよっぽど恥ずかしいことを現している。
流石に沙紀も少し躊躇った。相手が嫌がることを無理やりするのが楽しいと思うほど歪んではいない。
しかし、それでも気になった。彼女は響子とユニットを組んで活動したこともあるが、そういった方向の会話をあまりしたことはない。
(気になる……)
いまだに伏せている彼女を横目でちらっと確認して、結局沙紀は好奇心に白旗をあげて雑誌に目を落とした。
「さて……」
一体どんな内容が書かれているのか、文字に目を落としたらもうそこを読むのに夢中になっていた。
果たしてそこに書いてあった響子の理想のデートというものはしかし、沙紀の想像と違っていた。
『好きな相手と一日、家でゆっくり過ごしたいです!』
可愛らしいポップ体で書かれていたそれを見た沙紀は少し不思議に思っていた。
「てっきりテーマパークとかショッピングとか出掛けるのを想像してたんすけど」
彼女も年頃の娘だ。大体彼女らの世代はどこかへ出掛けるものが相場だと沙紀は考えていた。いやアタシも歳はそんなに変わんないけどと心の中でセルフ突っ込みをいれながら。
そんな響沙紀の言葉を響子は否定しない。
「そうですね……確かにそれも楽しそうだとは思います」
でも、と一拍置いて言葉が続く。
「私はやっぱり好きな人と安心できる場所に一緒にいられるだけで幸せだと思うんです。それにいずれは一緒に住んだりするわけですし」
「へぇ……」
「それにお家なら私が家事を奮えますし!」
響子はいつの間にか恥ずかしがっていた表情を消して笑いながら腕をまくっていた。沙紀もそれに応えるように笑った。
「ああ、なるほど……それなら響子ちゃんの彼氏は幸せ者っすね」
「まぁ、アイドルですから彼氏とかは無理ですけどね」
そう言いながら、響子は沙紀をじっと見つめていた。
「……どうしたっすか?」
「あの、その……」
今日の響子は恥ずかしがったり、笑ったり、また恥ずかしそうに俯いたりと忙しい。沙紀もどうしたものかと彼女の言葉を待つしかなかった。
「沙紀さんて、彼氏さんとかいたことってありますか……?」
「うぇっ?」
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