速水奏「息詰まるほどの愛を」
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2: ◆agif0ROmyg[saga]
2017/05/11(木) 22:14:19.63 ID:Dn2X/YwO0
そしてレッスン終了後。

約束通り車を回してくれた彼の後についてレッスン場を出る。

このまま送って、おやすみを言って別れる……

なんて、ありえないわよね。

私を助手席に乗せたまま、言葉少なに向かうのは彼の家。

すぐには向かわず、ちょっと複雑な道筋を通ったりするのはスキャンダル対策かしら。

昼間からずっと熱を持て余してるはずなのに、こういうところを疎かにしないのは、やっぱりポイント高いわね。

他の事なんて頭から飛んじゃうくらい求められる、ってのも悪くないけど。

そういうのは、盛り上がってきてからはいつものことだしね。

マンションの駐車場に車を止めて、静かに車を出る。

ものすごく豪華というほどでもないけれど、防音防犯はなかなかしっかりしてそうな所。

エレベーターに乗り込むと、最上階まで少しの間二人きりになれる。

相変わらず彼は何も言わない。

天井の隅、監視カメラに視線を向けてから、そっと手を握ってみる。

肌の火照りが伝わってきて、私たち二人同じような心境でいるのが分かる。

そっと身体を寄せて、胸を腕に押し付けて、まっすぐに上目遣い。

こうやって見つめれば、思いは伝わるはず。

それでもプロデューサーさんは衝動を押さえ込んだ。

カメラもあるし、いつ誰が乗り込んでくるかもわからないところで不用意なことはできない。当然よね。

でもそれでいいの? 昼からずっと、私のこと考えてたんでしょう? まだ我慢できちゃう? 

我慢できなくなったら、別に、いいのよ。

ほら、ね。

首を反らしてそっと目を閉じてみる。

心臓の高鳴りがこっちにも届いてきそう。

握った手に力がこもり、深呼吸して、どちらからともなく動き始めた瞬間。

エレベーターが止まった。

静かに扉が開き、廊下は無人。

固まってる暇なんて無い。

ちょっと強引に私の手を引いて、歩き出すプロデューサー。

足音の高さが焦りを隠しきれてない。

鍵を取り出して、鍵穴に差し込んで、一度回して扉を開いて私を引きずり込む。

余計な音を立てないようそっと閉じて、念入りに施錠して、それからやっと抱きしめてもらえた。

爪先立ちになって、彼の首に腕を回して、目と目を合わせて顔を近づける。

ねだるまでもなく、今度こそキスしてもらえた。

大きな体躯、長い腕に抱きしめられて、包み込まれるような暖かさ。

少し痛いくらい激しい抱擁。

私も一発で夢中にさせられて、エレベーターの中でこんなのされてたらきっと乗り過ごしてたわね。

屋内とはいえ扉一枚隔てて廊下がある、こんな玄関で、はしたないかもしれないけれど。

唇を合わせて、お互いの熱を交換し合うのはやっぱり最高に気持ちよくて、我慢なんてできない。


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